電気計測器 ヒストリカル エピソード

第3話  電気計測器(メーター)の誕生とウエストンの功績

産業のマザーツールとしての電気計測器が発明されたのも1880年代、前述のエジソンが白熱電球を発明したのとほぼ同時期のことだった。 以降100年、明治維新から今日まで、我国の電気計測器の歴史的進化を振り返ってみると次のように分類される。


  • 第一世代(1900-1930年):計測器の黎明期、国産化の時代
  • 第二世代(1930-1950年):第二次世界大戦と戦後復興の時代
  • 第三世代(1950-1970年):計測器の復活と高機能化の時代
  • 第四世代(1970-1990年):高度成長、世界市場進出の時代
  • 第五世代(1990- 現 在 ):多様化、スマート化(PC親和性)の時代

エドワード・ウエストン
(Edward Weston 1890-1990)

第一世代の黎明期は、先ず電気量(直流)を定量的に把握することから始まった。1879年、英国の物理学者のエアトン、ペリー両氏による電気メーターの研究を原点として、その10年後の1889年には米国の電気設計技師で後のウエストン電気計器会社の創業者エドワード・ウエストン(Edward Weston1850‐1936)が商業ベースにのる直流電流計を開発、現在の電気計測器のルーツとなった。
 ウエストンはまた化学電池の発明でも知られており、彼の名前を冠したウエストン型標準電池は1948年から1990年まで電圧の電気標準として国際的に使用されていた。

 
電気計測器生産の原点となったウエストン電気計器会社の
原風景(1906年 アメリカ ニュージャージー州)


電気計器のルーツ、ウエストン型直流計器
右上:多レンジ形
右下:単レンジ形 いずれも1920‐1930年代製造

一方我国では、1900年代初頭、当時の逓信省電気試験所や今の東大、東北大等の協力もあって始めての国産電気メータの試作に成功、歴史の1ページを切り開いた。その後、二度に亘る世界大戦を経験する過程において独自の国産技術を生み出し、戦後復興や産業の近代化を支える基盤事業として発展、電気計測器という独自のビジネス・ジャンルを築き上げていった。


 
左:初期の国産携帯用直流電流計(1922年 横河電機製造)  右:初期の静電電圧計

(2011/6/1掲載)
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